冬タイヤの履きつぶしは危険!?古くなったスタッドレスタイヤを夏に使ってはいけない理由

車の知識

こんにちは 彩将です!

気温もだんだんと高くなり春の暖かさも感じられるようになりましたが、車保有者にはこの時期の恒例行事と言えるようなものがあります。

それはタイヤ交換です!

冬タイヤに変える時のように焦ってやる必要性も薄いので、完全に暖かくなってからのんびりやる人や早めに取り替えてしまう人とタイミングも冬タイヤへの交換と比べると様々。早く夏タイヤに取り替えて見栄えをよくしたい人や、冬タイヤをすり減らしたくないと考えて早めに交換するという人もいます。

後者の場合は、冬タイヤは溝があっても年数が経ってしまえば効きが落ちてしまいますので、効果は薄いかもしれませんが。

他には冬タイヤをずっと穿きっぱなしという人もいますが、これはやめた方が良いかもしれません。

今回はスタッドレスタイヤを穿きつぶしとして夏場に使うのはやめた方が良い理由をご紹介します。

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スタッドレスの履きつぶしがNGな理由

まず結論から言いますとスタッドレスタイヤを夏に使用すること、所謂履きつぶしは危険が伴う場合が多いです。なのでお勧めしません!これはタイヤを売りたいから言う訳ではなく車を運転する方の安全面を考えて言っています。やはり安全が第一です!

なぜ履きつぶしが危険なのか?

それにはこんな理由があります。

  • 高速走行中の安定性が悪いから
  • 雨の日に濡れた路面でスリップしやすいから
  • 暑い直射日光の影響を受けてタイヤが傷みやすいから
  • 見た目で空気圧の減りが分かりにくいから
  • 燃費が悪化するから

などなど。

高速走行中の安定性が悪いから

スタッドレスのゴム質は、氷に噛みつくようなもしくは吸い付くような形で路面に密着させるために非常に柔らかく設計されています。

最近では一部メーカーで他の方法で作られているタイヤも出てきていますが、業界のリーダー企業とも言えるブリヂストンタイヤではもう何年も如何にいかにゴムを柔らかくするか、その柔らかい状態を如何に保つかという部分に焦点を当てて開発されていますので、それに倣って他のメーカーも類似した方法でスタッドレスタイヤを作っていますので、どのメーカーのタイヤでも履きつぶしには向きません。

どこかを良くするためにはどこかの性能を落とさなければならない。

その柔らかさが場合によっては危険に直結してしまうのです。

警察24時で見た事故

皆さんは警察24時という番組をご存じですか?

私はこの手の番組(というか最近ではテレビ自体)を頻繁に見る方ではないのですが、以前に何度か見た時にこんな事故の映像を見たことがあります。

その事故は高速道路で起きた事故で、他の車を追い越して車線変更した時に車が回転して横転してしまったという事故でした。その事故車両は軽自動車で、事故当時は雨が降っており路面も濡れていました。季節は確か春から夏にかけたあたりといったところです。

そしてその車が履いていたタイヤがスタッドレスタイヤだったのです。古くなったスタッドレスを穿きつぶしとして使っていたようでした。

なぜこのような事故が起きてしまったかと言うと、車線変更のためにハンドルを切った時にスタッドレスタイヤのブロック部分がねじれるように動いてしまい、さらに濡れた路面でのスリップも重なって車が横転してしまうまでに至ってしまったのです。

スタッドレスタイヤというのは先ほども書きました通り、ノーマルタイヤと比べてかなり柔らかく作られているため、積雪路面やアイスバーンでは高い性能を発揮しますが、雨で濡れた路面でのグリップ力は低いです。そして夏の暑さでさらに柔らかくなっていますので急ブレーキや急ハンドルを切った時はタイヤがねじれる様な形になってしまいます。そのねじれたことによって重心がズレてしまい、濡れた路面による摩擦の低下も重なって耐えきれずに車が横転してしまうという訳です。

そもそも急ハンドルや急ブレーキをしなければいいのでは?と思われた方もいるかもしれませんが、緊急の場合にはそうも行かない状況というのはあるでしょう。自分はスピードを出さずに安全運転だから大丈夫という訳ではないのです。車を運転している以上は急ブレーキや急ハンドルを切らなければいけない場合も出てきますし、そういう場合は突然起こりえますので上手さでカバーできるというものでもないでしょう。

高速走行時には特にちょっとのハンドル操作やブレーキでも大きな影響が出てしまいますので安定性にも大きく影響してしまいます。

雨の日に濡れた路面でスリップしやすいから

ピタッと止まることを第一に作られた「スタッドレスタイヤ」ですが、実は雨で濡れた路面では逆に滑りやすくなる場合があります。「夏タイヤ」の場合だと雨水を素早く除去する構造になっていますが、「スタッドレスタイヤ」の場合は一部の商品を除くとその機能が薄いです。メーカーによっては地面の水分を素早く除去する作りになっているタイヤもありますが、そのようなタイヤでも雨の日の水たまりを想定して作られたものではないので夏タイヤと比べるとその手の性能は劣ってしまいます。

雨水が素早く除去できない場合、「ハイドロプレーニング現象」と言ってタイヤが浮いた状態になりハンドル操作が効かなくなる現象が起こります。私も実際に溝がほとんどないタイヤを履いていた時に「ハイドロプレーニング現象」を経験したことがありますが、スピードが50~60キロでも結構怖いです。冬の雪解け水くらいなら問題ないのですが、ゲリラ豪雨のような大雨の時は危険です。道路状況によってはそこそこ深さのある水たまりが出来てしまう場所もありますので、そういう場所は特に危険です。

また、先ほどの警察24時での高速道路での事故のような例もありますので、やはり雨降りでのスタッドレスの使用は避けるべきです。

暑い直射日光の影響を受けてタイヤが傷みやすいから

タイヤはゴムでできている製品なので、寒いと固くなりやすく暑いと柔らかくなりやすいです。車関係の仕事をしている人なら経験がある方もいるかもしれませんが、冬場にタイヤをホイールに組み込む時にタイヤが固くて上手く組み込めず、タイヤを室内で温めてから組み込むこともあるくらいです。

スタッドレスは寒くても柔らかさを保つような作りになっているのですが、それでも冷えてしまうと固くなってしまうものです。

そんな寒い中でもグリップ力を発揮させるために柔らかさを保つように作られているスタッドレスタイヤを夏の暑い時期に使ってしまうとどうなるか?

タイヤが溶けたりはしませんがタイヤが柔らかくなりすぎてしまい夏場の路面を走るには安定性がなくなってしまいます。安定しないということはちょっとしたハンドル操作でやはり事故に繋がりやすくなってしまいます。

夏タイヤと冬タイヤを触って比べてみると分かりますが、固さが全然違います。夏タイヤはグリップ力を上げるためにある程度固く、冬タイヤは地面に密着させて摩擦を上げるために柔らかく作られています。

気温によって変わるグリップ力

また、「スタッドレスタイヤ」と「夏タイヤ」を乾燥路面で履き比べたときに、ある気温まで下がることでグリップ力に大きな差が出てくるというのも実験によって分かっています。気温によって性能が変わることは知っていましたが、実際の温度が何度なのかは私も調べていて初めて知りました。

その温度は5℃。

5℃以下になると「夏タイヤ」のグリップ性能がかなり落ちてしまい、乾燥路面だとしても「スタッドレス」の方が走行するのには適しているらしいです。

このことを知って、早めに「スタッドレス」に交換するのも良いかもと思う人が増えるかもしれませんね。また、交換する目安とするのにも分かりやすいかもしれません。天気予報などを見て気温が5℃に近づいてきたら交換するなどの考え方も出来そうですね。

さらに、タイヤは暑い直射日光や紫外線によってダメージを受けます。よく輪ゴムを日の当たる所に置きっぱなしにしていたらくっついてしまったり、乾燥してボロボロになってしまったりしている状態を見たことはありませんか?輪ゴムとタイヤは別物ではありますが同じゴム製品です。劣化スピードに違いはありますが、タイヤも同じようにダメージを受けて劣化してしまうものです。特にゴム質が柔らかくなるように作られているスタッドレスはその影響を大きく受けやすいです。なので夏タイヤと比べると温度の高い場所でのひび割れが進むスピードはスタッドレスの方が早いです。

特に古くなったスタッドレスは、ゴムを柔らかく保つためにタイヤに注入されているオイルが抜けてしまっているため劣化するスピードも速くなってしまいます。ひび割れが大きくなってしまうとエア漏れの可能性も出てきますし、走っている最中に空気圧に耐えきれなくなりバーストしてしまう危険性もあります。タイヤは走っていると温められますし、空気は温められることで膨張してしまいますのでそこから破裂に繋がりやすいです。

いくら見た目が綺麗だからと言っても、古くなったものはそれなりに劣化しているものですのであまり酷使するのは良くないでしょう。

見た目で空気圧の減りが分かりにくいから

スタッドレスは構造上どうしても潰れた感じの見た目をしているので空気圧の減り具合が目視では分かりにくいです。なのでよくスタンドで仕事をしていても、こちらから見ると空気圧が減ってそうもないのに、「タイヤの空気が減ってそうだから点検して欲しい」という人も多く見受けられます。そのほとんどの場合の点検したら正常な空気圧だったということが多いです。それくらい見た目では分かりにくいです。

このように頻繁に気に掛けるタイプの方ならまだ良いかもしれませんが、実際に空気が減っているのに冬タイヤだからこんなもんだろうと思ってそのまま乗ってしまう人がいますが、その行為はタイヤを痛めてしまいやすく、擦り減り方も極端になってしまいますし、最悪の場合タイヤが裂けてしまい修理不能な状態にもなってしまいます。そうなってしまうと急にタイヤを買い替えなければならなくなってしまい大きな出費にもつながってしまいます。

こういうことにならない為にも、特にタイヤや車の知識があまりない方は履きつぶしをしない方が良いでしょう。

燃費が悪化するから

「スタッドレスタイヤ」は凍結路面や積雪路面でしっかり止まることを第一として作られていますので、当然燃費は悪くなります。「ヨコハマタイヤ」のように冬タイヤでも燃費を考えて作っているメーカーもありますが、夏タイヤと比べたら差は大きいです。車の事を気にする人だったらプロじゃなくても気づく程度。

私が実際に普段乗っている車で見てみると、冬タイヤと夏タイヤでの燃費の差はどう頑張っても1リッター当たり2㎞は変わりました。タイヤの銘柄や車の車種などの様々な条件によっても変わりますがそれなりに違いはありそうです。

実際にほとんどのタイヤメーカーではスタッドレスタイヤに関しては燃費のデータに触れていませんので、結構変わってしまうものなのだと思います。

結論

スタッドレスタイヤを夏場に履きつぶしとして使うのは一時的には金銭面でメリットがある場合もあるかもしれませんが、安定性も悪くなり事故に繋がる危険性もありますし燃費も悪くなってしまうのであまりおススメできるものではありません。

特に溝が残っている冬タイヤほど、夏場に使用するのには適さないです。冬場の路面と夏場の路面はやはり違いますし適材適所というものもあります。

あと昔はよく冬タイヤは音がうるさいとか乗り心地が悪いと言われましたが最近はそうでもありません。恐らくスタッドレスの前の冬タイヤであるスタッドタイヤの印象があるからそう思ってしまっているだけかと思われます。

私が乗って運転した感じでは逆に夏タイヤの方が走行中のロードノイズがうるさいです。静粛性に特化した夏タイヤと比べたら冬タイヤの方が劣りますが、半端な夏タイヤよりも冬タイヤの方が静かです。これは私が働いている店のお客さんでも同じことを言っている人が多いです。

「履きつぶしはするな!」とは言いませんが、注意点をしっかり理解した上で決めた方が良いです。

もう少しで車を入れ替えるからそれまでの繋ぎで履きつぶしをするというのであればありかと思いますが、その場合も長距離の運転は避けるなどの対応を取った方が良いかもしれません。

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実はスタッドレスタイヤの履きつぶしをする人は減っている

近年では燃費を気にする人が増えているせいか「スタッドレスタイヤ」の履きつぶしは減ってきています。それでも地域によりますが、まだ1割近くの人は履きつぶしをしているようです。(たぶん1割まではいないかも)中にはずっと冬タイヤを履きっぱなしなんて人もいたりします。

因みに私は峠道を走ることが多いので7月近くまではいつもスタッドレスを履いたままで7月~10月の初めまで夏タイヤを装着しています。峠道は中々雪が溶けず5月でも残っている場合もあるので注意が必要です。なので夏タイヤはほとんど減らないので買うことも少ないです。

ここで少し視点が変わりますが、それならオールシーズンタイヤならどうなのだろうか?

一年中履きっぱなしに出来るタイヤがあるのであればその方がタイヤ交換をする手間も省けるし、買い替えをしない分お得なのでは?

スタッドレスタイヤとノーマル(夏)タイヤとオールシーズンタイヤの違い

まずタイヤには色々種類があり、大まかに分けると「スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)」「夏タイヤ(ノーマルタイヤ)」「オールシーズンタイヤ」の3つが一般的だと思います。他にも「マッドタイヤ」だとか「スタッドタイヤ」だとかもありますが今回は省きます。

スタッドレスタイヤ」と「夏タイヤ」の大きな違いは「ゴム質」です。「スタッドレスタイヤ」は路面に密着して摩擦で止まりやすくする為に柔らかく、「夏タイヤ」は高気温に耐えられるようにしっかりとしたゴム質になっています。他には「溝の深さ」や「溝の形」も違います。「冬タイヤ」は雪道や凍結路面でしっかりグリップが効くように、「夏タイヤ」は雨の日の路面でしっかり止まり、暑さにも耐えられて更に燃費が向上するように作られています。その季節に適した作りになっています。

オールシーズンタイヤってどうなの?

「オールシーズンタイヤ」は年中履けるタイヤで「夏タイヤ」と「冬タイヤ」の中間と考えた方が分かりやすいと思います。ヨーロッパの方など海外ではメジャーなタイヤで日本でもここ最近販売が増えてきています。ある国内メーカーでは「オールシーズンタイヤ」を初めて生産したという話しもあります。ただ中間の位置づけではあるけど、良いとこ取りのハイブリッドとは言えないかと思います。

じゃあ交換する手間を省きたいから年中「オールシーズンタイヤ」で良いじゃん!って思う人もいるかと思いますが実際どうなのか。私も「オールシーズンタイヤ」を使ったことがありませんが、いろいろ話しを聞いたり、タイヤの履き比べの動画を見たりして情報を集めたところ、「冬は夏タイヤよりは良くて夏は冬タイヤよりは良い」という感じでした。

でもこれでは分かりにくいのでもう少し詳しく説明しますと、

冬の積雪路面はある程度は止まりますがアイスバーンのような凍結路面は危険です。夏タイヤよりはマシかな?という程度です。SUV車で使われるようなオフロードタイヤをイメージすると分かりやすいかもしれません。

夏場も雨で濡れた路面は冬タイヤよりもいいけど夏タイヤには及ばない。それにゴム質が夏タイヤに比べて柔らかさがある分減りやすいです。

もし日本国内で使うのであれば雪が全く積もらない地域なら使えるかもしれません。(雪が全く積もらないなら、むしろ夏タイヤで良いかも)積雪地域で使用するのは危険ですね。ただ種類がかなり少ないし価格もスタッドレスほどではないけど中々いいお値段の場合が多いです。面倒がらずに夏冬で分けた方が良いかもしれません。

タイヤは車の中で唯一地面に接している部分のパーツなのでしっかりとしたものを選びましょう。安全第一です。

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